FLEX Japan 2018 講演レポート2

講演レポート
米NextFlex上級エンジニアリングマネージャー Wilfried Bair氏
FHEロードマップや"Technology Hub"などについて説明

 

写真:NextFlex Wilfried Bair氏

 

FHEを研究段階から実際の製品にすることが使命

2018FLEX Japan / MEMS&SENSORS FORUMの初日(4月19日)、" FHE and Printed Electronics Session"(FHEとプリントエレクトロニクスセッション)の二人目の講演者として、米NextFlex(ネクストフレックス)でSenior Engineering Manager(上級エンジニアリングマネージャー)を就くWilfried Bair(ウィルフィールド・ベア)氏が登場した。

NextFlexは米国のフレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス製造協会。米国製造業協会ネットワークの主要団体の一つ。FHEにおける米国の先進的な製造業の設立を目指し、国防総省(DoD)とSEMIの戦略パートナーであるFlexTech Allianceとの間の協力協定により2015年に結成された。このコンソーシアムは、FHEの米国製造を推進するという共通の目標を持つ企業、学術機関、非営利団体、州、地方自治体および連邦政府からなる。FHEの技術革新を促進し、先進的な製造業に携わる労働力開発を加速し、持続可能な製造エコシステムの設立を目指して活動している。

その中でWilfried Bair氏はデバイスインテグレーションとシステムレベルハードウェアプロジェクトの責任者を務める。

この日、FHE and Printed Electronics Sessionのチェアの一人である凸版印刷 事業開発・研究本部 事業開発センター 技術士(応用理学部門) 中村隆一氏の紹介を受けて、Bair氏はステージに上がった。

 

Bair氏は"The Future is Flexible: How NextFlex is Taking on the Challenge"(未来はフレキシブル:NextFlexはどのようにチャレンジしていくか?)をテーマに、NextFlexコミュニティにおけるFHEの商業化の見通しとFHE技術ロードマップにまつわる進捗状況とともに、NextFlex Technology Hubのオンライン機能について説明した。

その中でウェアラブル技術の普及が成功するには、ソフトウェア(アルゴリズム、分析など)とハードウェア開発(フォームファクター、製造など)の両方が必要とし、医療・産業・家電製品におけるIoT((Internet of Things)アプリケーションのNextFlexプロジェクトと技術の具体例について話を進めた。

 開口一番、「NextFlexは、FHEついてどのようにアプローチしているか?」と語り、組織の説明から始めた。

写真:NextFlex Wilfried Bair氏

「FHEをラボ(研究室・研究所)から実際の製品にもっていこうというのが私たちのビジョンだ。米国の競争力の向上と技術移転を促進する"Manufacturing USA"というコンセプトがあり、これには米国の14機関・団体が関連している。NextFlexはその一つ。例えば、アディティブ・テクノロジー(Additive Technology:薄い層を積み上げて製作する技術)、ファイバーテキスタイル(Fiber Textile)、それから半導体といった異なる技術の企業・機関が担当している。その中で、米西海のサンノゼにあるNextFlexはFHEを担当している。この開発技術をアプリケーションに持っていき、機能の観点から評価していくのが私たちの役割」

 Manufacturing USAは、" National Network for Manufacturing Innovation" (NNMI:国家製造革新ネットワーク)とも呼ばれている。米国の産業界、大学、連邦政府機関の間の官民パートナーシップを通じて、製造技術開発と商業化を目指す米国の研究機関ネットワーク。ドイツのフラウンホーファー研究所をモデルにしている。研究所は製造業全体にわたり、4つの重要分野からメンバーにサービスを提供している。

その構成機関の一つであるNextFlexはメンバーシップ制の産業団体。Boeing 、Lockheed Martin、Applied Materials、Dupont、General Electric(GE)、Qualcomm Technologies、American Semiconductor、E Ink、Analog Devices、BASFをはじめとする民間企業がメンバーの中心になっているが、大学や米国機関もメンバーに名を連ねている。

「FHEのロードマップを作成していくにあたり、どれだけ影響力を持つことができるのかというのが、このメンバー企業の関心の焦点となっている」

Georgia Institute of Technology(Georgia Tech)、University of Massachusetts、Massachusetts Institute of Technology(MIT)、Stanford University、University of California Berkeley(UCB、University of California San Diego(UCSD)、IPC(Association Connection Electronics Industries)、IQM Research Instituteをはじめとする大学や学術機関もメンバーになっており、アプリケーションスペースを定義するためのシステム開発をしている。

「では、どのアプリケーションのエリアにフォーカスしたらいいのか? これが、アプリケーションに焦点を当てたロードマップということになる」

ロードマップを説明するに当たって、「FHEとは何なのか? よく知られていることだが……」と前置きして、FHEについて要約した。

「FHEは、既存のプリントエレクトロニクスとICチップと合わせて、プリン基盤の上に載せ、半導体の性能を達成するものである。つまり、プリント基板とICを合わせたものだ。 すでにプリンティングとR2R(Roll-to-Roll)、積層(Additive)、薄膜シリコン装置(Thin Silicon Equipment)&材料(Material)、製造・電子組み立て(Manufacturing & Electronic Assembly)といった技術が存在する。それらの技術を立体的に挟み込むことにより、さまざまなアプリケーションに使うことかできる」

これらの技術を組み合わせて2020年には製品化する計画。アプリケーション分野として、"Human Monitoring"(ヒューマンモニタリング)"、"Asset Monitoring"(アセットモニタリング:設備監視)、"Soft Robotics"(ソフトロボティクス)、"Integrated Array Antennas"(インテグレーティッドアレイアンテナ)、--の主だった4分野を挙げた。

このなかで、最も支配的であるのはヘルスケアアプリケーションでもあるHuman Monitoringだということ。文字通り、人間の動態をモニタリングするが、医療患者や老人の生理学的状態を感知して通知・伝達告するため、身に付けたり着用でき、着心地のいい非侵襲的なシステムを指す。二つ目のAsset Monitoringは、橋梁や飛行機、製造現場のロボットの監視といったインフラ領域のモニタリングのことである。

Soft Roboticsは、能動的な衣服や着用可能なロボットツール、身体の欠損した部位の形態と機能を人工物で補うようなロボット機能の付いた圧縮されたセンサーやデバイス類のこと。ここでは、製造・家電・医療(手術後)の分野における人間とロボットの親和性のあるインタラクションを実現する。代表的なシステムとしては、人が身体を動かそうとすると、脳から神経を通じて筋肉に信号が流れ、その際に微弱な生体電位信号を皮膚に貼ったセンサーで検出して意思に従った補助動作を実現するロボットスーツなどがある。

これらの実現には、革新的な電源や電源管理のスキームも必要になるが、「私たちの技術の一つにフレキシブルなプリンティングバッテリーがある」とBair氏は補足した。

Integrated Array Antennas(IAA)は、文字通りインテグレーティッド(統合)したアレイアンテナで、レーダーアンテナであり、データシステムでもある。形状としては、箱形のユニットもあるが、自動車の車体に直接アンテナをプリントして自動運転車に使うこともできる。軍事用にも民生用にも使うことのできる技術。フレキシブルであったり、コンフォーマル(半導体基板の上にマスクを蒸着しエッチングして凸凹になったところに窒化シリコンなどをブランケット被覆)な表面上に効率的にプリントされた広帯域アレイ素子をパターン化してプリントされたワイドバンドアレイ素子を用いて薄型電子回路を組み込む。

こうした主だったアプリケーションのテクニカルプラットフォームを実現するために必要となるプロセス(過程)を説明し、"Device Integration and Packaging"(デバイスインテグレーション&パッケージング)、"Printing & Microfluidics"(プリンティング&マイクロ流体)、"Materials"(材料)、"Modeling & Design"(モデリング&デザイン)、"Standards, Test & Reliability"(規格、試験、信頼性)が必要になるとした。

 

FHEにより健康状態を検査するメディカルテストに革新

「私たちは、最終的にIoTアプリケーションを作ろうとしている。そのために妥当なコストと性能を達成できないといけない」

現在、NextFlexにおいて、企業・政府機関・学界の150社・団体がロードマップを実現するためにプロセス固めをしている。

IoTを達成するための要因について、Bair氏は「現在では、さまざまなリソースがセントライズされているが、これをもっと分散化されたエッジコンピューティング上に映していかなければいけない」と強調した。

IoT戦略を策定する重要な要素の一つに、収集されたデータの分析をどこでどのように適用するかがある。現在のように、リアルタイムでクラウドにすべてを転送するにはIoTが普及するとデータが厖大過ぎて、リアルタイム処理が難しくなってしまう。プロセッサーが集中している場合、集中型のクラウドロケーションに移動するのに遅延とコストがかかり実用的ではなくなるのだ。これにより、自動運転車のクラッシュやロボットの動作不良、臓器移植用冷蔵ユニットの不具合などが生じやすくなる。マシンが独自のメトリクス、環境センサーデータ、もしくはこれらの組み合わせに即座に対応しなければならないときはエッジコンピューティングの方が適切になるのだ。

次にBair氏は、2016年時点のウェアラブル(デバイス)の状況と2020年以降に実現されるウェアラブルの予想をプロジェクターに写真に映し出した。

「2016年の時点で、これだけのウェアラブルが利用可能になっている。ただ、これは新しい技術というのではなく、もう何年もリジィットフォーム(硬性形状)で利用可能だったものだ。このリジィット(硬性)の部分を高性能でフレキシブルな軟性のものにしなければならない。そのためにプリント構造のセンサー(プリントセンサー)のように、ウェアラブルは直接生体、皮膚の上に付けられ、身に付けていることを意識しないで済むようにすることだ」

人間の健康状態を検査するメディカルテストは進歩・進化している。以前なら、検査室(ラボ)に、血液、組織・細胞、排泄物といった検体を持っていって、それを検査してもらうのが一般的だった。その後、検査器具や検査機器を検体のあるところに持っていくことができるようになった。2018年にはバイオセンサーを付けることで、検査機器・検査室を身体に装着できるようになっている。将来的には、検査機器・検査室といったものが小型カプセル状でインプラントになって埋め込まれることになり、生体をリアルタイムでモニタリング計測できるようになるとした。 

「2018年時点でクルマの走行状態については把握できるようになっている。ここで重要なことは継続的にモニタリングできるということだ」

Bair氏はFHEについて、いくつかの主だった企業が開発しているいくつかの製品を紹介していった。

まず、フレキシブル基板上に超薄型ICを直接繊維状にプリントしたもので、医療・見守りにおいて人間の生体や動態をモニタリングできるようにし、高い性能と快適な着心地を実現する製品である。いわゆる、"Smart Textile"、"Smart Fabric、"Smart Apparel"と呼ばれている製品である。実用に供するためには、洗濯機で洗えるようにできなければならない。

この課題として、ウェアラブルシステムのフレキシブル基板に超薄型チップを取り付けて生産ラインを組む準備が整備させておらず、製品化のためには、アセンブリーの仕組みを開発して量産化できるようにすることが必要だとした。

そのアプローチとして、ボンド回路パターンの受電端としてプリントされた銀導体を使用してポリウレタン基板へのICのフリップチップ結合することが考えられる。それにより、ウェアラブルのパック(Pucksゴム玉)を排除するために伸縮可能なTPU(Thermoplastic Polyurethane:熱可塑性ポリウレタン)キャリアを介して薄いシリコンICをテキスタイルに組み込むことができる。その結果として、フレキシブルICとセンサーをテキスタイルに統合するための組み立てプロセスおよび物理テストからの不良データの評価基準とともに、実績のある製造プロセスの開発と検証へつながる。

 別の事例として、"Flexible Smart Wound Dressing"(フレキシブルスマート創傷ドレッシング)、"Sensor Integration for Wound Monitoring Bandage"(創傷モニタリング絆創膏・包帯)、"Flexible  Oral Biochemistry Sensing System"(フレキシブル口腔バイオセンシングシステム)を上げた。

このうち、Flexible Smart Wound Dressingは、患者のための創傷ケアをより容易にし、より快適にする。現在、数カ月以上治癒しない慢性創傷の患者は米国だけで年間650万人を超え、なお増加する傾向にある。その治療費は高価でありだけでなく、多くの人に頼るところが多い。

そこで、低コストで製造可能なFlexible Smart Wound Dressingにより酸素濃度を測定し、直りにくい創傷をモニタリングする。創傷酸素濃度を測定することで、酸素を液体にして創傷に送り込む。こうすることで創傷の治癒を促進することができるという。 Bluetoothでスマートフォンにその計測値を転送することもできる。この市場は、米国だけで年間約25億ドルに上る。

この実現に向けて、WMU(Western Michigan University)でマテリアル(材料)をプリントし、パデュー大学(Purdue University )でアセンブル(組み立て)およびベンチトップテストデバイスについて開発する。また、IUSM(Indiana University School of Medicine)で研究室と生体上で評価する。北米のカスタムインストレーションブランドであるIntegraと全面的に協力して製造プロセスを最適化していく。

「Flexible Oral Biochemistry Sensing Systemは、FHEとプリントされたセンサーを組み合わせることで、マウスピース(マウスガードセンサー)に統合した検査器をつくり、脱水していないか、疲労していないかだけでなく、精神状態までモニタリングすることができる」

現在のバイオアナライザーによる定期的な測定では、アスリートや兵士・戦闘員の疲労度や脱水状態を測定・判断するには不十分である。これが製品化すれば、最大8時間にわたり唾液中のバイオアナライト濃度の継続的に遠隔モニターすることができる。このマウスピース型のデバイスにはセンサーとプリント電極が組み込まれ、取り外しができ、使い捨てができる。

「Bluetoothでデータをスマートフォンに転送して、得られたデータを元に状態に合わせてアクションを取ることができる」(Wilfried Bair氏)

 

2017年にTechnology Hubのパイロット製造ラインを立ち上げ

「FHEデバイスについては、どのように設計し、どのようなプロセスで、性能的にもどのくらいのものになるかを計測できなければいけない。ファウンドリ対応データとスクリプトファイルをまとめたPDK(Process Development Kid)を元にしてFHE製品を設計する場合に、インテグレートされたパラメーターのコンポーネントをどうすればいいか? それをもとに達成しなければいけないプロセスの機能がどれぐらいあるのか? リジットからフレックスへの変換はどのようにするのか?--私たちは実際にNextFlex Technology Hub(テクノロジーハブ)をつくった」

FHEの設計・製造にあたっては、超薄型でフレキシブルなダイで作業するための複雑なフォームファクター要件があり、ダイボンド、機能プリンティング、カプセル化、パッシブプリンティングといったプロセスステップについて一貫して検証する必要がある。このため、NextFlexは2017年にTechnology Hubのパイロット製造ラインを立ち上げた。この生産設備は、米国で最初のシングルソースFHE加工生産ラインとなった。ここで、NextFlexとそのメンバーが新技術を検証・証明し、製造プロセスを開発し、実際の製造環境で新たな材料をテストしている。

Technology Hubには1万5000平方フィートのクラス10,000のクリーンルームがある。

クラス10,000とは、米国連邦規格であるFed-std209E(Federal standard 209E)に規定されており、0.5μm(ミクロン)径の微粒子が1立法フィート内に1万個まで許される清浄度のレベルである。ただし、重要なプロセスではクラス100といった、より高いクリーンルームへのローカライズアップグレードができる。クリーンルームは、24時間365日の監視・警報システムがある。リアルタイムプロセスとテストデータをネットワークを介して直接収集して分析ができる。また、プリントルームは4500平方フィート、組み立てスペースは2700平方フィート、テストスペースは1300フィート、サポートラボは6500平方フィートの面積がそれぞれある。

Technology Hubにはさまざまな設備が整っている。その一つが、フレキシブル基板上に導電性インクをデジタルプリントする"Meyer Burger PiXDRO Printer"。この装置により、非常に小さなFHEの機能をつくるための材料とプロセスプロトタイピングを可能とした。これは、プロジェクトをサポートするパートナー企業であるDuPont、Eastman Chemical、Intrinsiq Materialsの資金援助を受けて設置された。

また、パッケージング、組み立て、プリント導体用に最適化された鉛フリーハンダ硬化を特徴とするBTU International Pyramaxのハイスループットリフローオーブンがある。

Universal Instruments の"Fusion SC1-07"は、ディスクリート部品のピックアンドプレースと最終組み立て工程用で、ベアダイ配置ができるマルチウェーハフィーダーを備えている。この装置は、超薄型ダイのプロセスを完璧に処理するため、Binghamton University(ビンガムトン大学)、GE Global Research、i3 Electronics、Lockheed Martinから資金援助を受けた。

Nanotronics Imaging製の"nSpec"は卓上型の光学検査システム。透明・不透明および半透明のウェハーの表面欠陥分析向けに完全に自動化されている。画像処理システムにはAIを搭載しており、熟練者にも判断の難しい欠陥なども、より正確かつ効率的に自動判定することが可能だ。

このほか、ユアサシステム機器の製品として、フレキシブルディスプレイのストレッチをテストする2台のマシン(model #S1912, model#Z8040)とともに、いろいろな気候条件でさまざまな折り畳み試験を実施する環境チャンバー(model#CL-09FSC900)が導入されている。

「プリントのためのツールとして、スクリーンプリンター、インクジェットプリンター、グラビアオフセットプリンターのほか、テーブルトップの産業用インクジェットプリンターもある。ここでは、ファンクショナルインクを使って3Dの表面に直接プリントでき、完全にインテグレートされたものになる。マルチレイヤーのインクジェットプリンティングができるし、フォトニックキュアリングをすることもできる。この一体化したツールを使うことでアセンブリーまでもっていくことができる」

Bair氏は、Technology Hubにおける行程について順に説明しながら設備についても補足していった。 

「次にプリントしたインクによって 硬化(キュアリング)させていき、特定の基盤に合わせた形にする。ここでユビキュアリング、IR(赤外線)キュアリングといったものがある」

キュアリングとは、素材内部の構造を安定化させるための加熱工程。加熱温度や時間、熱プロファイルは材料で大きく異なる。

「フェムトセカンドレーザー(フェムト秒つまり1000兆分の1秒といった短い秒数のレーザー)を使ってプリントされたストラクチャーを研磨していく。例えばスクリーンプリントを使っていた場合、その場合はレーザーアブレーション(Laser Ablation)を行っている場合にはフィーチャーを狭めていかなければ台の中に総合接続させることができない。次のPECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマCVD)ツールは低温で加工ができ、蒸着をバリアフレームに対して行っていくことができる。プラスティック基盤用につくられた非常にユニークなツールである」

 

PECVDは、成膜技術を活用した高密度アモルファスコンフォーマルコーティングができる。IRキュアリング、バッチオーブンなど8ゾーンのコンベアオーブンの説明に続いて、アランブリー(組み立て)とインテグレーション装置の話に移った。

「標準のアセンブリーツールはリジッド向きに開発されている。その本来のツールを観察し、このツールをシリコンダイアタッチ向けに改良した。同時にパッシブコンポーネントのアタッチをフレックス基盤上にできるようにしている。基本的にはダイボンディング(チップを固定する作業)を使っていく。これには超薄いダイを選んでいき、ダイシングをして、直接フレックスの基盤の上にバッファパックを載せていく。ディスペンサーがあるので、コンダクティブペースト、コンダクティブディフェンシブといったものを統合させていくこともできる。バラバラのディスペンスの仕組みを使いながら、パッシブインテグレーションしていく」

リジッドは、柔軟性のない絶縁体基材を用いた基盤であり、「リジッド(Rigid)」とは「固い」という意味。フレキシブルは絶縁体基材に薄く柔軟性のある材料を用いた基板でFPCと略される。硬質の材料と薄く柔軟性のある材料を複合させたものはリジッドフレキシブル(Flex-Rigid)とも呼ばれる。一般的なプリント基板はほとんどがリジッド基板を指す。

Bair氏は製造プロセスの説明を続けた。

写真:NextFlex Wilfried Bair氏

 「ピック&プレイスのツールを使いながら、フレックス基盤上のモノをとっていく。こちらはメトロロジー(計測標準研究)のものになる。ここでは KEYENCE (キーエンス)のVK-X260Kを使っている。プリンティングとアセンブリーの特徴づけで使っている>

フォーカルスペックもあるが、これは大規模なフォトグラフィのスキャンニングとかコンポーネントをみていくときに行う。こちらは、データのログインのキャラクタリゼーションのシステムになっている。ボンドエリアは、製造の装置がないもので、メカニカルなテストの仕組みがないものはこちらで行う。特にFHEは、新しいものになるのでテストの標準化がなされている。そこでユアサシステム機器から複数のツールを購入して、FHEの曲げる、ひねる、折る、巻く、押すといった耐久テストできるようになっている。ユニークなことは、管区室の中に入れてFHEのテストを実施するときに、温度のサイクリングの中でやっていくことで、とてもユニークなテストをリアルタイムで行っていけることだ」

ユアサシステム機器は、卓上型耐久試験機を始め、恒温恒湿器内耐久試験システムや自立型耐久試験機を製造している日本のメーカー。旧日本電池と旧ユアサコーポレーションが2004年に経営統合して誕生したジーエス・ユアサ コーポレーションとは別会社。

 

オープンソースのArduinoをFlexにするプロジェクト

Bair氏は、Technology Hubの導入後に手がけた最初のプロジェクトについて話題を移した。

「Technology Hub立ち上げ後に、最初手がけたのは"Flex Arduino Project"と呼ばれている。Arduino(アルデュイーノ)はオープンソースのプラットフォームになっている。シングルプロセスボードになっている。さまざまなアプリケーションに使うことができるので、メーカーのコミュニティでとても人気があり、教育でもよく使われている。Arduinoのボードを使ってFlexに変換していった」

Arduinoは、AVRマイコン、入出力ポートを備えた基板、C++に似たArduino言語とそれの統合開発環境から構成されるオープンソースハードウェア。ハードウェア設計情報のEAGLEファイルは無料公開されている。スタンドアローン型のインタラクティブデバイス開発だけでなく、ホストコンピュータ上のソフトウェアで制御することもできる。Arduino LLCとArduino SRL が、設計・製造を担い、登録商標を持っている。 

Arduinoの自作の工作方法を簡単に触れた後、「この場合は、ARDUINO Miniを使ったわけだが、これの機能をFlexボードに対して変換していった。非常にシンプルなプロセスだが、実際にしたことは複雑だった」とプロセスを説明した。

「基盤については、表面をクリーニングして準備をする。それからドリルビア(Drilled Vias)を入れていく。前と後ろがシングルレイヤーになっていて、その上の部分にプリントしていく。下層の部分にプリントして熱硬化を施していく。これによりビアの接続が完了する。次に上下に誘電体を塗布して硬化させていく。そして、この基盤がインテグレーションに耐えうるのかチェックしていく」

続いてアセンブリーのステップの説明をした。

「アセンブリーのプロセスでは、コンポーネント配置(SMディスクリート、パッシブなどの準備をして、プリントされた基盤を取り上げて、そこにICP(Inductively Coupled Plasma :誘導結合プラズマ)を入れていく。これは、等方性導電ペーストということで、ダイタッチを行っていく。そして、異方導電ペースト(NCP/ACP)を行っていく。これはパッシブコンポーネントに対して行っていく。 アセンブリーが完了するとペースト(ICP)を基盤に対して実行する流れになる」

さらにフレキシブルARDUINO製造プロセスについて、図表を示しながら、そのフロー(流れ)を示した。

「シンプルにプロセスを示すと、まずシステムデザインから始めていく。ここでは標準のデジットボードのデザインからのガーバーを使う。標準のPCB(プリント基板)アセンブリーで使われている標準的なデザインフォーマットとなる。これをガーバーを使ってからプリント可能なフォーマットに変換していく。次にさまざまなコンポートのアレンジをし直して作業が発生する。リジットボードでは問題はないが、Flex上でするのであれば、コンポーネントをばらばらにしていかなければならない。ここでしたことは、ダイアタッチの部分を取り上げて、下に落としてパッシブな部分を上げていく。これによって個々のフレックスとベンドのゾーンができる。パッシブを切り分けてテストをすることができる。そして、プリント(インクジェット、エアロゾルジェット、スクリーンプリント)してから、ダイアタッチを行う。パッシブのSMP(Surface Mount Device)アセンブリーを行い、その後に封止をする。それからテストを行う」

カッパーフレックス回路には、ポリミド、PET、別のPET基盤のものといったように、いろいろな基盤の組み合わせがあり、インクや誘電体もさまざまなものがあるため、Flexに移すために最適な組み合わせをそれぞれテストしながら、複数のマテリアルから中から選んでいくことも、Bair氏は補足した。

Arduinoボートの重さは28gだが、プロジェクトで使ったArduino Minkのリディジットボードは2g。FlexにしたFHE Arduinoは0.65gとなり、重さは67.5%減、つまり約70%軽量化した。

最後に、Bair氏は典型的なFHEの断面図を示しながら、FHEで可能になるスキンパッチのようなバイオセンサーや布・衣服への統合といった代表的なアプリケーションにも触れながらスピーチを締めくくった。

 

(清水メディア戦略研究所 清水 計宏)

 

【参考】

Institutes of Manufacturing USA

Institute

Technology

Location

National Additive Manufacturing Innovation Institute

3D Printing / additive manufacturing

Youngstown, Ohio

Digital Manufacturing and Design Innovation Institute (DMDII)

Digital manufacturing

Chicago, Illinois

Lightweight Materials Manufacturing Innovation Institute (ALMMII)

Lightweight materials

Detroit, Michigan

Next Generation Power Electronics Institute (PowerAmerica)

Wide-bandgap semiconductors

Raleigh, North Carolina

Institute for Advanced Composites Manufacturing Innovation (IACMI)

Composite materials

Knoxville, Tennessee

American Institute for Manufacturing Integrated Photonics (AIM Photonics)

Photonic integrated circuits

Rochester, New York

Flexible Hybrid Electronics Manufacturing Innovation Institute

Flexible electronics

San Jose, California

Advanced Functional Fabrics of America (AFFOA)

Textiles

Cambridge, Massachusetts

Smart Manufacturing Innovation Institute

Smart manufacturing

Los Angeles, California

National Institute for Innovation in Manufacturing Biopharmaceuticals

Biopharmacetuical

Newark, Delaware

Advanced Regenerative Manufacturing Institute (ARMI) | BioFabUSA

Regenerative medicine / tissue engineering

Manchester, New Hampshire